一日布団の中


 運動の後は筋肉の緊張をほぐすために湯に浸かりたいのだが、昨夜、マーが風呂場を占拠していたため、入りそびれた。
 今朝、風呂場を家人に占拠される前に湯を沸かし、準備完了。とにかく左足の筋肉が痙るように痛いのを、一刻も早くほぐしたい思いで風呂場に飛び込むと…またもやマーが、開かれたパラソルの下で気持よさげ。
 ちょっと気が立ってしまっていたぼくは、じゃけんにマーを抱え上げて風呂場の外に出した。とたんに、細君から、かわいそうじゃないのっ!と叱責の声が飛ぶ。とにかく筋肉が痺れるように痛いので風呂でほぐしたい、と異議申し立てをしたら、ゴムバインダーをやり過ぎじゃないのっ!とまたきつい声。
 今日のぼくは自分自身にいらだちを覚えているので、細君のこの言葉は追い打ちをかけるようなもの。
「今のぼくは、運動のやり過ぎだどうだ、という議論よりも、猫を風呂場から出して、ぼく自身の筋肉をほぐして楽になりたいんだよっ!」
 大きな声ではないが、とんがるような声を腹の底から出した。
 細君の言っていることは対処療法にはならない。筋肉をほぐし、楽な心が蘇った段階で、言うべきことだろう。ああ、家族というのは、難しい。
 午前中2時間ほど、布団の中で眠った。大分楽になっている。
○昼前、新聞を採り入れるため外に出た。ススキ穂が風に煽られていた。もう種を飛ばし始めている。
 ちょっと戯れ歌を。
 ♪風が吹けば 桶屋が儲かり
  我が家のススキが 種を蒔く♪