本当に久しぶりに、ベランメエ口調

○相手を騙して金を毟り取る行為ー詐欺
 古今東西、現実仮想現実、さまざまにある。ぼくはよく詐欺の対象に選ばれる。お前、どんな目をしているの?とはぼくの内心。だが、「美味しいお話し」は聞いて楽しむ。今日の例ー
 昨日の買い物失敗を取り返しに船橋に出た。無事取り返しを終え、新たな買い物をするために東武デパートの玄関口に向けて脚と杖を運んでいたら、ぼくの真正面5メートルほどのところの初老のゴトシ風体ーちょっと古い表現ですが−の男性が、いきなり、元気に陽気に。
「よー、お久しぶり!」
 その段階では詐欺師だろうとも思わず、しかし一応は用心した風をして、
 「はー、どちらさんですかね。ごめんなさいね。」
 「オレだよ、吉田だよ!」
 ぼくの、船橋を地盤とする知人一覧表には「吉田」はない。住みかを定めている柏にも知人一覧表にはない。もちろん、長い人生では、吉田某には数々出会っており親交を持ってはいたが、今、出会って「よー、久しぶり!」と言われる、上から、あるいは平行目線の関係性は築いていない。
 「やっぱり覚えておりませんねぇ。最近頭がぼんくらになっているから、中身空っぽですわ。どちらの吉田さんでしょうかね。」
 「ほら、渡辺さんと一緒に働いていた吉田だよ。あの渡辺さん。」
 だんだん面白くなってきた。架空話をどう真実みがあるように持っていくか。なるほど、そこら辺にゴロゴロいらっしゃる吉田に渡辺。普通何らかの関係があって然る日本社会の代表的な苗字を使用し、「一緒に働いていた」と来たか。この間の「詐欺師」さんは、「伊藤」を名乗り「鈴木と一緒に飲んだ。」と言ってたな。今日はどのような「お誘い」を?
 「内緒だぜ、誰にも言うなよ。一発で大当たりって美味しいのがあるのよ。お前、金持ってんだろ?オレに預けりゃ、財布はぱんぱんだぜ。」
 そういうところまで彼はぼくを信用した、いや、だましがいがある、と思ってくださった!懐からぱんぱんにふくれた長財布を取り出し、二つに割って見せてくれた。本物のおぜぜなら200万は詰まっている!
 「ヒエーッ、すごいね。」
 「どうだ、金預けてくれりゃ、このぐらいはすぐに渡すぜ。」
 この段階で、ぼくは、彼とのお遊びを止めることにした。
 「金、ねえよ。」
 「おめえ、出かけてんだから、無一文ってことたぁねえだろ。」
 「だから、さっき言ったろ?リハビリ外出だって。」
 「じゃあ、家に帰りゃぁ、金あんだろうが。」
 「家に帰ってもねえよ。かあちゃんに取り上げられてよ−、どこにあるかわかりゃしねえってこと。」
 「銀行の通帳、カード、あるんだろうが。」
 「あんたみたいな詐欺師に騙されねえようにって、うちのカカアが取り上げてどっかに預けてるようだから、オレは知らねえ。・・吉田さんとやら、右見てみな、イヌがこっちを見てらあな。呼ぼうか?」
 けーっと大声挙げて立ち去りました。
 まだ、「詐欺師」さんとはタイマン張れますよ。おとといおいで!
○昨日の買い物失敗の取り返しの後の買い物先でのこと。
 陳列棚をゆっくりと歩いて眺めていても、ほとんどの店は、ぼくの存在を無視するそういう店ならびでのことです。本当に美しい店員サンと目があってしまったため、「むさ苦しいジジイがしばらくうろちょろ眺めます。ごめんなさい。」と声を掛けた。「どうぞ、ごゆっくりご覧下さい。もしもこれは?というものがございましたら、遠慮せず、お声をおかけください。私はここにおりますから。」との返事。しっかりと聞き取れる好感が持てる接客言語に感心した。よし、この店に決めた。
 それから20分はその店員さんを独り占め。ああだ、こうだと話のネタを替えながら、購買目的がふさわしいものであると、店員が判断するかどうかを伺っていた。「お話しがとてもお上手でいらっしゃいますね。」お褒めいただいたが、昔の商売道具です、とは言わなかった。「こんな感じでぺらぺらしゃべるのは、じつは目くらまし。しゃべってる本人は不安なんですよ、見透かされるんじゃないかってね。ほら、この季節でこの程度の暖房だというのに、私は汗びっしょりでしょ?これが不安を身体が表している証です。」「そうでしょうか?とても頭が切れる方だと思います。」「頭はすり切れています。何より証拠に、ほら、毛が無くなっていますでしょ?」 これには店員はじめ、店の奥の人たちも声を挙げて、しかし上品に、笑って相手してくれた。その他、いろいろ。
 もちろんこのお店で、昨日の買い物失敗のみそぎができたと思います。
○体調はいまいち優れない今日だけれど、二つの話術?で気分が豊かになった今日でした。
○Lunixでファインダー付き超小型本格一眼レフが出されていた!うーん、何でもっとはやく出なかったんだよ。店員さんとここでも長話。