寒さ故

○終日無為に過ごす。寒い。
○フランス語文献の活字が読み取りにくい状態。そのために根気が続かない。疲れ故か、眼力の低下故か。いずれにしてもこれが現実だとしたら、セガン研究の続行はほぼ絶望的。
○畏友、熊本の仲田陽一氏から書簡をいただく。若き日々のぼくの低学力から来る向こう見ずな姿勢を、しっかりと覚えておられ、現在のぼくのセガン研究に対する姿勢と重ねて見ておられる。ありがたい目線を感じるが、今後、力が続くのだろうか。氏からいただいたご懸念「セガンに関わるさらなる成果が、身体の状況に引っ張られて満足のいかないものになっては…・と心配する次第です。」を、今日のぼくは背負っている。今日は冷たい雨だが、明日は晴れの天気になりますように。
○畏友、佐藤将寛氏から書簡をいただいた。ぼくが「リアリズム精神は捨てない」ということに、強く共感を示してくださった。氏も病と必死に闘って研究の課題を深めておられる。氏のことを考えると、めそめそ言ってらんないな。
○とにかく、今日は休もう。
○パリという街の「壁」は歴史の呼吸を感じることができる。『ヴァガボン漂流記』の一節より―
「パリ5区内のロラン通りは100メートルほどの極めて短路である。しかしながら、その両側に並び立つ建物の壁には、さまざまな顕彰パネルがはめ込まれている。それらのパネルを時系列に並べてみながら、この小さな路地裏で起こった歴史を再現してみるのもおもしろい。17世紀、19世紀、20世紀と、それぞれに歴史を作った起点がある。アンシャン・レジューム期、パリ・コミューン、そして第二次世界大戦。フランス近代小史を見るような思いになる。そしてそれらは我が日本の近代史とまったく無縁ではないわけである。」
○また、「歴史」を探しに旅に出たいな。自由の利かないからだから吹き出る果てしない欲望―。