♪知らない街を歩いてみたい、どこか遠くへ行きたい♪(2) ある老軀者の回想

〔承前〕  「オグジュレ」も「ドセール」も、ナイナイづくし。インターネット検索もやみくもに行った。けれども行き着かない。これまでの人生では、こういう時、さっさと諦めてすごすごと退散してきたのだが、どういうわけだか、意地になって食らいついていた。
 1880年にニューヨークで行われたある儀式の記録をネットで見つけた。その一部内容が「オグジュレ」と書いていた文献の該当箇所とそっくりであることに気づいた。なんだ、日本の自称開拓的研究者お得意の未邦訳文献のコピペなのか。で、「オグジュレ」の箇所はAuxerreとなっている! 旺文社ロワイヤル仏和中辞書で「オセールブルゴーニュ地方Yonne県の都市〕とあった。オラ、知らん、そんなとこ。しかし、「ドセール」は「オセール」と頭の音が違うよなぁ。まあ、この問題は後に回して、「オセール」の地理、歴史、文化的なことだけでもネットで調べておきましょ。Auxerre市の広報HPを探り当て、ふむふむ…。
 なかなかに風光明媚なところであるようだ…が、オラ、それ興味ない。ん?サン=ジェルマン大修道院〔添付写真〕が起源を5世紀に持ち、中世にはヨーロッパ各地から学問を求めて若者たちが集まるところであった。9世紀から、教師と共に寄宿生活を送る…?んと、これ、梅根悟先生の『世界教育史』で触れられている中世の「遍歴学生」と「大学」の起こりに通じるんじゃないか。何?一時は2,000人もの学生がいたって?いわゆる「遊学」だよ、これ。興味ある、行ってみたい!今も似たような機関があるのだろうか。
 いつにする?旅費・宿泊費の手当は?仕事との関わりは?何よりもことばの問題、どうすべ。・・・・ぼくの仕事は教育と研究であり、しかも具体的な計画性と具体的な成果〔課題・内容・方法〕が見込まれない限り、校務としては認められない。「行ってみたい!」だけでは許可は得られ無い、かといって、先行研究の愚を改めるため、などとは口が裂けても言えない。・・・
 オセールへの最初の旅は2004年10月末の28日、28日の1泊2日が充てられた。