S先生への書簡 「セガン」翻訳について

○S 先生
 いかがお過ごしでしょうか。
 私が目を患っていることはお知らせいたしました。昨年秋に眼科診察を受け、加齢黄斑変性症であると宣告されました。治療方法も確立していない病だそうです。症状(現状)は、おおざっぱに言って、左目は文字判読がまったくできない、ということです。
 文字を読むのは、主として、右目のお世話になるというわけですが、右目も同病に罹病していますので、右目の病の進行がこれ以上ないように、と祈るような気持ちであります。
 それはそれとして、同封いたしましたのは、セガン1843年論文の既訳分です。ほぼ、半分になります。章で言いますと、第4章まで。400字原稿用紙に換算しますと、約110枚になります。この後も訳出作業を続けていきますが、文字が読み取れなくなったらそれでおしまいになります。そんなことのないことを強く願って、作業を進めていく所存です。
 とにかく、できあがったところまで、お読みいただければと思い、お送りいたします。できましたら、中野善達氏の訳と比較読みをして下さると、とても嬉しく思います。また、訳注が必要だろうとお考えになることなどをご指摘下されば、さらに嬉しく存じます。本文中に登場する人名については、「作中人物一覧」のような表題をつけて、本文訳、解説の他に、載せたいと考えています。
 年内には本文の訳出を終え、そのあと、解説や「作中人物一覧」作成のための多少の深めた勉強をしながら、執筆、という予定です。もっともこの予定は、身体に変化なし、という条件下のことです。あと、「やる気」の持続も加えなければなりませんね。
 それでは、失礼いたします。
                   2015年8月27日 記
追伸 脳梗塞による後遺症はまだ自力で行動できるところまでは、治癒していません。こちらもこれという治癒方法はないのですが、リハビリによる機能回復に望みをかけています。週2回、機能回復をもっぱらとするデイ・サービスに通所しているほか、自宅で、外歩き、屋内体操などで、自主リハビリに励んでおります。
○体がすごく重い。これじゃあ「お散歩」が苦役になってしまう。郵便局に行った帰り道は白山神社回り。たった一周だけど、どれほど時間をかけたのだろう。
○郵便局のいつもの郵便窓口マダム、とびっきりの笑顔で、「脚が強くなってきましたね。」と声掛けをしてくださった。こういうお心が何よりもうれしいと思った今日。