今日は大人しく在宅で机仕事に集中

セガン研究話(20)
 クラムシー学芸協会の協力を得てセガンのライフヒストリーを実証する史料を幾点か入手しはしたけれど、それでもって、セガンのフランス時代の実像を綴ることができるかというと、そこまでにはいたらない。いってみれば、履歴書は書けるが、ドキュメンタリーにはほど遠いというところだ。先行研究はドキュメンタリーもどきを綴っているが履歴書はとうてい書けない、という対称的な関係にあった。かといってこの身は本格的なセガン研究者ではないしー第一、問題意識がない―、先行研究の曖昧さあるいは瑕疵を繕う作業が続く。
 そうした作業の最初の成果は、セガンが共和主義者であり1848年革命に何らかの形でコミットしていたと説明できる史料の発掘である。そのきっかけはパリ・コミューン研究のために2000年に入手していた「フランスの労働運動事典」の検索にあった。そこにセガンの名がくっきりと刻まれていた。1848年3月に結成された共和主義運動派のある委員会の呼びかけ人となっていた。当時、そのポスターが張り出されたという。ポスターをコピー版でも入手する方法はないか?ある!ナポレオンIII世政権が1848年年革命関係者の弾圧のために収集記録した関連ポスター集があるはずだ。
 インターネット利用でフランス国立図書館データサーヴィスにアクセスして、関連キーワードからポスター集が収蔵されていることを確認、『1848年6月の反乱に関わる出版物』という表題の書物に収められていたが、リライトされているようであり、記録にはなっても現物証明にはならない。2005年の秋、パリのさる古書店から送られてきた目録に、1848年2月革命から第3共和制成立を推進した様々な団体のポスター集が収録された古書があることを見つけ、さっそく注文。幸いに入手できた。リライトされないまさに当時のままのポスターの複製のようだ。
 こうして、「セガンは1848年革命に参加したようだ」という推定から、確定事項への変更の第一歩の史料と出会うことができた。これは胸躍りましたね。さらに胸躍ることは、2009年に、セガンが中心となって組織した「労働者の権利クラブ」というポスターの発掘。これもフランス国立図書館に蔵書されていた。このポスターの存在は、先のポスター集にも、あらゆるセガン研究者にもまったく知られていなかった。文字通り、ぼくが「第一発見者」なのである。
○トドちゃん親子、今夜から27日までアメリカへ。事故の無いように、大いに楽しんできてください。いってらっしゃい。
セガン研究話を一本にまとめる作業。修正も。10月1日の三志会で配布できれば。