終日フランス語

セガン研究話(21)
 自分の手でセガンにかかわるオリジナル史料を「発掘」した第1号が、1848年革命に何らかの形でかかわった証、共和派の1グループが宣言したポスターであった。白痴教育関係は多くの手で研究がすすめられ、それなりの定説が成立しているようであったので〔後日、この研究すらでたらめであることに気づくのだが〕、白痴教育関係以外でセガンがかかわったであろうことの、史料発掘と確認の作業に入った。といっても、日本にいてできることと言えば、図書資料等の検索である。インターネット時代に生きていてよかったと思うのはこの時である。フランス国立図書館蔵書のアーカイヴ化はその進化が目覚ましい。Edouard Seguinとキーワードを入力し、画面に登場する諸情報をこまめに点検する気力さえあれば、求めるあるいは求めるであろう情報に行き着くのだ。フランスに滞在していた時はやみくもに歩き回ったが、ネットの中もやみくもに検索を続ける・・。まさに、「歩くしか能のない教育研究者」という揶揄がぴったりの我が姿である。
 何らかの形で既知の情報については大まかなことをメモを取るだけにして、未知の情報に出会えば直ちに史料のダウンロード作業、そして保存の上プリントアウト。
 こうして最初に入手した史料が、セガンの芸術評論。「ラ・プレス」という新興の新聞1836年8月に4本。未完の論稿のようであったが、それでプツリと途絶えていた。セガンの回想に「1837年、死ぬほどの病からようやく立ち直った時、アドリアン(最初の教育実践の対象者)と出会った」ということが綴られていることから、病魔に襲われて芸術評論の執筆中断やむなしになったのだな、という推論が起こったのだった。
 これまでのセガン研究では全く触れられてこなかった新しい事項がこれで二点となった。
セガン論文、難解になってきた。「基礎体力」がないゆえだろうと思うが、抽象的思考を要することも大きな原因。
セガン1843年論文翻訳 第7章 承前 そして終了
 この最後の構音順は私が話し方の指導のために適用したものである。このようなやり方で覚えられた文字は、読み方の構造を教えることに意味を持つことになる。
 読み方が前提とするすべての概念のうち、最初の7つが文字の認識へと導く。続く2つが構造的な読み方へと手ほどきをする。次の通り。
1. ただの一音あるいは音節の発出と複数の記号との関係について。
2. 複数の記号と相次ぐ複数の構音との関係について。
 書かれ話される言葉とその言葉が表す観念との関係の、10番目の最後の概念は、その定義が示すように、我々を概念の領域から観念の領域へと移らしめる。それは特別な説明の対象である。
 第8と第9の概念に関しては、それらは先行詞がなければ何も生じない。実際、ずいぶん前から、私は、文字カードだけの順の配置を示す組み合わせと、音声と知性の順の組み合わせに素地を与える組み合わせの能力を、そのことで(dans le sujet?)訓練することを勧めてきた。それで、例えば、Tという形を作るために板二枚を組み合わせた子どもが、まずは大体から二文字 ― つまり、RAを一声で発出するためのRとA ― を合わせるなど考えられないのだが 二つは一つを形作るために結合しうるとはっきりと考えたのである。こうした、ある順から別の順への、単一から組み合わせへの、そしてとりわけ具体から抽象への能力の以降のために、構音の難しさを少しずつ程度を挙げていく配慮をするだけで十分である。ここまでくれば、どのような順で二文字の音節を提示すべきかを知るためには、私が話し方の章で書いたことを再読されたい。
 三文字の順は、錯綜混乱に生徒が陥るのを見ないようにするために、いずれの場合にも、切り離して考えることが重要な二つの結合によって、形作られる。二つの子音の間に一つの母音というので作られるのが一グループ、もう一つのグループは、二子音に続いて一母音、である。
 白痴病(idiotisme)が顕著に構音を困難にしていない子どもたちのためには、まず、第一のグループの三文字音節を教えることがふさわしい。なぜならば、もう一つのグループは、どんな場合でもあっという間に過ぎでしまうからだ。その速さゆえに怠け者をしばしば満足させてしまうのだが。たとえば、ParよりもPraのほうが早く言える、など。まだ話し方を学んでいる者たちにとって、同群ではじめる必要がある。というのは、二子音を直接読むのにまだ一母音の介在の助けの必要を満たさないからだ。また、Praと言うためにはまだParaと発音しなければならないからだ。などなど。
 これが理論となるものである。
 具体的実践的手段に関しては、注意を集中させるのにより適しているのが、音節それぞれが印刷された厚紙にある。こうして、知性の働きにすぐにでもとって代わってしまおうとする記憶を見つけ出すために、うまく変化がつけられるような一連の困難性が組織される。
 ことばの音節を集めることは、次の章で示すように、同じ原理と同じ手段を得られるのだ。
○トドちゃん親子、アメリカの土を踏んだとメール。大いに楽しんでください。
○夕刻、細君が旅から帰ってきた。
○Cocosにて家族そろって晩餐。皆元気で嬉しいことです。イアンから「どれぐらい回復しているのか」と聞かれて返答に困ったが、体の部品はかなり元の動きができるようになったが、部品を寄せ集めると、回復までの道のりは遠い、と実演入りで、回答した。